![]() ![]() こうして二人に可愛がられて鯱丸はすくすくと育っていった。ところが5歳になったある日、鯱丸は突然姿を消してしまう。二人は必死になって捜したが、鯱丸を見付けることはできなかった。その晩松原で泣く赤ん坊の夢を見た二人は、居ても立っても居られずにまだ暗い内に松原に行ってみると、昔お婆さんが鯱丸を拾ったところにひょうたんがひとつ落ちていた。これも何か鯱丸に縁のあるものだろうと家に持ち帰った二人が栓を取ると、なんと中から鯱丸の声がして小判が一枚飛び出してきた。二人は鯱丸の声が聞けるのが嬉しくて、何度も栓をしては抜くのを繰り返すと、たちまち家の中には小判の山ができた。お爺さんはこの大事なひょうたんがネズミにかじられでもしたら大変と、紐で縛って天井からぶら下げた。ところが二人が寝てしまった夜中に、泥棒が小判を盗みに入ってきてしまう。泥棒は小判を全部風呂敷に包んでしまうと、ぶら下がったひょうたんに気が付いて、酒でも入っているのだろうと栓を抜いた。途端に「誰だ、誰だ!」という鯱丸の大きな叫び声がひょうたんから飛び出し、泥棒はびっくりして小判を置いて逃げていってう。目を覚ました二人は、鯱丸に守られていることに安心して再び安らかな眠りに就くのだった。 それからもお爺さんとお婆さんは、鯱丸の声が聞きたくなるとひょうたんの栓を抜いた。そして出てきた小判は困っている人にも分け与え、大切に使ったという。 |
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演出・原動画・美術(背景):三善和彦 文芸:沖島勲 平成6年4月9日(TBSは4月16日)放映
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